犬の社会化というと、”社会のあらゆる人・動物・物・音等に慣れさせるトレーニング”といわれています。トリミングの社会化というとトリミング台の上でじっとしている事・ドライヤーの音等に慣れさせる事と言われています。しかし、少し違う視点から捉えたほうが判りやすいので、詳しくご説明していきます。
コレが社会化?
ある日のできこと
我が家は今は逗子を拠点に生活をしています。毎日のお散歩に関してはこの周辺で行っています。週に1回程度はもっと静かで自然が豊かなドッグラン等へ連れて行きます。
ある日、東京に帰省の予定があり、ワンコさんたちを一緒につれて帰りました。弟犬は今も社会化中。あらゆるものに、ネガティブな印象を持ちやすく、いい意味でも悪い意味でも神経質な性格です。旅行用のガラガラ、大きな音のバイク・スケボー これらの大きな音が聞こえると興奮して吠え、突進しようとします。しかし、この日は駒沢公園。ベースとなる環境音がうるさいくらい。。目の前を何人もの方がガラガラで往来していましたが、ぜんぜん気に留める様子がありませんでした。。。
人で喩えるなら、2レベルの違和感が頭にあり・80レベルの腰痛・100レベルの肩痛がある場合、気になるのは肩痛だけ。肩痛のレベルが80くらいになってくると、はじめて腰痛を感じ始めたりします。一番痛いところしか痛みを感じないといわれています。
これと同様で、駒沢公園周辺の環境音が100レベル・ガラガラの音が80レベル。逗子での環境音が60レベルとすると、ガラガラの音が逗子では気になるが、駒沢では気にならないという事になります。
こう考えると、100レベルの騒音の中で暮らし、慣れさせ、80レベルのガラガラの音に反応を示さないことが社会化と言えるのだろうか?と思った。
本当の社会化とは
人でも”慣れる”という事を考えた時に、慣れたい気分になれば、勝手に慣れてしまいます。”慣れさせよう!慣れさせよう!”と意気込んでも、本人が慣れたいと思わなければ、慣れられずはずもなく、単なる嫌な経験を積みあげる事になります。
つまり、ワンコさんを”慣れたい気分にさせる”事が”社会化”と言えるでしょう。
本当の社会化について考える
1.沢山の良い刺激を与えながら、刺激が入ってくる事に対して自信をつけていくこと(楽しい体験を沢山積むこと。それにより、新しい刺激に挑戦してみる勇気が持てるようになること)
2.どんな刺激も受け流せるだけの受け皿を作っていくこと(1人で生きているのではないという事・・飼い主との絆を結ぶこと)
と言えるのでは?
社会化の時期
そう考えると、社会化は社会化期(生後4ヶ月まで)しかできないという事には違和感がある。成犬になっても・シニアになってもいつでも可能である。ただ社会化期は社会化に絶好のタイミングであり、飼い主にとっても、ワンコさんにとっても、楽な時期であることも間違いないように感じる。
トリミングの社会化
トリミングはとにかく刺激が強いことは確かである。
トリミングの社会化に失敗してしまったというのは、トリミングが嫌な刺激と受け止められ、二度と経験したくないと感じている状態。辛いと感じながらも耐えているのに、トリマー(或いは飼い主さん)が全く理解しようとしてくれない。一方通行で絆がないから頑張りたい!と思えない状態といえるのでは?
なので、はじめてのトリミングは、良い刺激を沢山感じてほしい。心地よいマッサージや、毛づくろい・がんばったことを理解してもらったり、心地よいことを理解してもらったり。おやつなんかもふんだんに使って頂きたい。先日小学生のお世話をしてる友人が”小学生はお菓子があれば、なんでも喜んで動いてくれるんだー”なんて笑ってました。糖質の問題は別として、あながち間違っていないかもと感じます。それで、慣れたい気分になることをサポートすれば、、勝手に慣れてしまうという事です。ホテルも同様。トレーニングという名のもと、慣れさせようと、無理やり我慢を強いてしまうこと、結果にこだわってしまうことが、どんなにもったいないことかお分かりいただけると思う。
すでに、トリミングにおける社会化に失敗してしまった場合も大丈夫。はじめからいい刺激となるように行っていった場合に比べ、時間はかかると思うが、必ず変わっていく。変えたいのか、諦めてしまうのか。たぶんそれだけでしょう。
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